企業が直面する労働問題とノウハウ継承。

 ここを見ている皆さんは、知っている人は知っているが知らない人は全く知らない、国内の労働需給問題があります。

 今更「それだどうした?」と言われそうですが、これは企業の存亡をかけた問題と国力につながる問題です。
 単に指標だけ見ている人には縁がないかも知れませんが、事業の責任者や経営者、現場レベルに於いても喫緊とした状況を目の当たりにしている人にとっては理解しやすいことでしょう。
 国内失業率は、過去の水準として依然と高いのかも知れませんが、胡散臭い算出方法から考えると、今の失業率は「普通」か低いのかも知れません。
 国内の労働需要は高い水準、つまりはバブル期のピークと同等程度のものがあります。しかしながら、内定率を考えるとそれほど高くないようにも見えます。ここには統計のマジックがあり、(100+0)/2=50という、平均の出し方があるのです。内定を10や20取る学生が居る一方で、全く内定を貰えない学生が居ます。
 この高い労働需要を支えている原因は2つあります。一つは、2007年問題、もう一つは好景気です。言わずと知れた2007年問題はさておいて、とても好景気には見えませんが、企業として人員削減を進めた一方で、大企業レベルで進行している景気の好転により、人材の需要が上がってきているのです。
 いまさらながら、2007年問題による労働需要上昇はいささか後手だと思います。そんな一年程度で継承できるようなビジネスノウハウは掃いて捨てる程度の価値しかありません。或る程度のノウハウの伝承という物は3年程度はかかる物です。ここをご覧の方は解ると思いますが、自己のノウハウは1年そこいらで新入社員に継承できるとは思わないでしょう? そういうことです。
 そこで現状のバブルのような売り手市場で、企業のコアコンピタンスを維持するために必至な人材確保が出来る企業というのは限られてきます。
 企業は求職者から選ばれている時代に既になっていることに気づいていない経営者と、気づいている経営者とでは、継続性と将来性に差が出ると言うことです。聴かれなくなって久しいような「東京海上効果」は、一年や二年では築き上げられませんし、企業ブランドとしての活動の一環としてとらえるべき課題なのです。
 人事評価やコンピタンス、能力向上といった点に於いては、指導してきた立場から言うなれば「地道な努力」が一番の近道だと思います。業務改善や改革、成長にいてはすべて根底に「地道な努力」があってこそです。これと対になるのは「英断と臨機応変」でしょうか。
 気づかれないような「地道な努力」をしていく個人やその体質を持つ組織は非常に貴重で、その状況に応じて柔軟に対応できなければ「地道な努力」は成長の阻害要因にしかなりません。その両方が出来てこそ、企業の成長、ノウハウ継承がスムーズに進むのではないでしょうか?

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(by PLANEY ALLIANCE NETWORK)